響鬼騒動への雑感を、長く長く長く、なっがぁぁ〜〜く語ってみる。

自分の目指したい立場を、どれみ文章書きの大先輩の言葉を引用して説明。

バッファローマン、貴様、どちらの味方だ?!」
「どっちの味方でもねえ!!脚本家が変わってもプロデューサーが
 変わっても、面白い響鬼が見られればそれでいいんだ!!」

だが、悪魔になるのは一度だけ。
響鬼の放送が終われば、旧響鬼信者に生まれ変わるつもりなのさ!(意味不明)

その1。桐谷京介の可能性について。

まず、新旧の変化云々は、全部置いといて。
キリヤだけは援護し続けようと思ってるHTBです。
先週の見て思いました。ああ、コイツ、明日夢のこと大好きで仕方ないんだなーって。
例えば。例えばですよ。コイツが女子だったとしたら。

キリヤ
「またヒビキさんに慰めてもらいに来たのかい?」(アタシがいるのにさ……)

最強ツンデレ*1キャラ爆誕


想い人に嫉妬し、わざわざ自転車で必死にたちばなに先回りしてくるキリヤ。これに愛しく思わず何と思うのか。(笑)
……あんま言い過ぎると、801になっちゃうんで辞めますが。
キリヤには、草加雅人@913にはない「水面下で脚バタバタ」を見せてくれたことに、期待したいのです。
もしかしたら、明日夢&キリヤは、巧&草加が紡げなかった友情を、育んでくれるかもしれない。


あきらのみならず、モッチーにも雑言を吐くキリヤに、とうとう明日夢が青春のパンチ一発*2
そんなこんなで友情を育んで。
最終回辺りで、明日夢のピンチ(←どんなだ、それは)に颯爽と現れ、

キリヤ
「やっぱ君ってつまらない人間だよな、明日夢!」
明日夢
「……京介」

こうなったら、涙腺決壊確定。
いや有り得ないだろうけど、動かし方によっては。
彼からも唸らせるものが創れるんじゃないか。一応、期待してます。
ヒビキさんの背中に憧れていた、旧響鬼
だから新響鬼では、具体的な動きで成長を見せてくれたら、いいなーって。切に。

その2。どうしちゃったんだトドロキ。

トドロキ
「どうしました?」
剣崎@ブレイド
「あの、この病院に運ばれてきたダディ――橘さんって人の病室を探してるんですが」
トドロキ
「……ああ急患ですか。それでしたらあっちの方ですね。お大事にどうぞ」
剣崎
「!? お前はダレナンダ! トドロキさんじゃない!」
トドロキ
「ええっ!?」
橘@ギャレン
「やはりそういうことか!」
剣崎
「サバキさん! じゃなくてダディャーナさん!」
橘
「騙されるな剣ゲゲ! そいつはトライアルTだ、語尾に『っす』をつけないトドロキなんてトドロキじゃない!」
トドロキ
「いや誰彼構わずつけてるわけじゃ――あ、ザンキさん! もう、何とか言ってやってくださいよ〜。先輩ライダーの皆さん、ヒドいんすよ〜」
ザンキ
「……今のお前には殴る価値もない」
トドロキ
「ザンキさんっ!?!?」
ザンキ
「『元・警官』という初期設定を忘れ、俺以外の人間に対してもテンパり、俺の病状が悪化しても尚一緒に戦いたいと願う、そんな落ち着きのない25歳が今のトドロキだ。お前はトドロキじゃない、戸田山変身体だ」
剣崎
「落ち着きのない25歳なら橘さんのことだけど」
橘
「お前も初期設定は『文武両道の天才』だっただろう剣崎」
ザンキ
「表へ出ろ。今のトドロキを返してもらうぞ……」

トドロキ
「そんな……そんなぁ! ザ、ザンキさんなんか大っ嫌いだぁーー!!」

ザンキ
「おう何だ、いたのかトドロキ」
剣崎
「そうだ、それだよトドロキさん!」
橘
「済まなかったトドロキ、俺の思い違いだった」
トドロキ
「ウェッ!? 何言ってんすか!? 有り得ないっすよ!」
ヒビキ
「あ、トドロキだ」
イブキ
「何だトドロキさんですか」
トドロキ
「…………人生見つめ直してくるっす」

……デカレンで、デカマスター初登場100人斬りやった次の回で。
自分に頼って欲しくないというボスの真意をわかりかねた*3バンが、「ボスなんか大っ嫌いだーー!」って叫ぶ回があったんですよ。
そんな駄々っ子じゃないんだから、ってずっと思ってたんですが。

Q37.いちばん「言いづらいな〜」と悩んだ自分のセリフ
 エピソード14の「ボスなんか大嫌いだー!」バンは
 ここまでガキなのか? と悩んで、監督にも相談。
 そしたら、バンが言わなきゃ他に誰が言うと言われ、
 理解しました。

(『特捜戦隊デカレンジャー キャラクターブック フェイス・オフ』(朝日ソノラマ、2005年)キャストアンケートより)

別に自分が思わずとも、何よりキャスト自身が首を傾げ、議論の上であのシーンが創られてたんですね。


さて響鬼では、こういう作業は行われてるんでしょうか。
いや、戦隊は子供によりわかりやすく創ってる*4、ライダーとは違うってのはわかるんですが。



今までの平成ライダー的な、人間関係の諸問題。
そういうのを乗り越えて今があるのが、鬼たちだと思ってました。
だからこそヒビキさんが、明日夢にその背中をずっと見せていた。
本来の響鬼は、そういう物語だったんですけど……
ヒーローものなら葛藤も描かなきゃダメ、という固定観念を吹き飛ばそうとしたから"完全新生"だったんですよね。


そういえばイブキさんも、ヘタレ化が進行してますが。
「邪魔だ消えろ」と言い放つ、吉野のお坊ちゃま=エリート故の冷徹さも持っていた、かつてのイブキさん。
まぁ19歳って若さもあるし、さらに若いあきらと共にこの艱難を乗り越え、さらなる高みに昇って欲しいものです。カムバック、小暮さんにも動じなかったイブキさん!(笑)
とりあえず来週を待っておこうかと。


でも、トドロキはなぁ……トドロキはなぁ…………
前の日菜佳誕生日話で、ヒビキさんがトドロキをあっさり否定したのには驚きましたが。
あれは「今のトドロキ」に対して怒っていた=トドロキをああいう風にしか描けない「今のスタッフ」に対して怒っていた、んじゃあないか。
と、皮肉の一つも言いたくなったり。

その3。急激な変化は極論を産むというジレンマ。

色々と散見するに、今の響鬼のほうが好きって意見も聞きます。
「前の響鬼を返せ」という意見を、旧信者の妄想と乱暴に切り捨てるかたも拝見したりします。
何故、こうなってしまったのか?
どうして響鬼ファンは旧新に分断され、あたかもスペースノイドアースノイドのように、同じ人間同士で憎しみ合うバトルファイトを繰り広げるようになったのか?(←大ゲサ過ぎです)



ここで例え話を。
先日OP曲がとうとう変わった、今年4月に"完全新生"した『ドラえもん』。
もしこの完全新生が、余りに唐突に行われていたら?


先週までずっと旧キャストだったのに、今週から何のアナウンスもなく大山のぶ代さんの声が消え、OP曲も変更。
作風も原作重視に変更、かつてのドラえもんにあった「母性」がかき消え、「子供っぽさ」を急激に強調され出した。
こんな"革命"が起こったとしたら?


……大暴動が起こったでしょう。
「いや、原作に回帰した今のドラえもんが正しい、旧ドラ信者は原作を理解していない」「むしろ旧ドラが原作と乖離し過ぎていたんだ」という肯定派と。
「かつて大山のぶ代さんが、子供たちに乱暴な言葉遣いを聞かせたくないからと『こんにちは、ぼくドラえもんです』という名セリフを創った。それを否定するのか?」「今の子供達は『こんなこといいな できたらいいな♪』という唄を知らず育つのか?」という否定派に真っ二つ。


問題は、「ある日突然、急激に変わってしまった」ことなんです。
その変化が正しいか、間違っているかじゃない。


かつて、旧ドラのOPの歌い手と編曲が、東京プリンさんに新生しただけで。
あれだけの大騒ぎになり、東京プリンさんまで理不尽な被害に遭ったのを、わかっていたんでしょうね。
だから、キャスト変更の告知から始まり、旧キャストによる最後のSP、しっかりと間を置いての現在のドラえもん開始。
こうやって、変化を丁寧に行っていたんです。


何故、響鬼はそれをできなかったのだろう?
先日ドラえもんが、ファンである漫画家の自宅にいきなり押しかけるという、恐ろしく社会常識に反した傍若無人振りを披露してましたが。
確かに原作通りなんだけど、大山さんらが創り上げた旧ドラのパブリックイメージにはそぐわない。
もしそれを、旧ドラのキャスト・作風のまま、原作通りだから正しいんだといきなりやっていたら。
やっぱり大混乱が起こったでしょう。
それを、30話の響鬼はやってしまったんですよ。


無論、ドラえもんの数十年の歴史と、響鬼の半年を比較するのは筋違いかもしれませんが。
それでも、問題の本質は変わってないのでは。


『PAPUWA』のアニメが始まった時、旧『南国少年パプワくん』からキャストが一新されてて残念に思いましたが。
キャストが同じでも監督が違った『最遊記RELOAD』見て「キャストの問題じゃないな」と思いましたが、そんな感じ*5
それでも急激に変えるのなら、いっそこれらのようにタイトルも変えたほうが良かったんじゃあ。
仮面ライダー響鬼555』でも生ぬるいよね、『響鬼SEED DESTINY』ないし『響鬼Max Heart』とでも名乗ったら……いいんじゃないかな?(草加@913風に)

その4。スポンサーを仮想敵とすることへの異議。

とは、言うものの。
別に、新響鬼だけを批判したいわけではありません。
何故って「急激な変化」って意味では、アギト〜ブレイドから響鬼への流れも変わりないですから。


その変化の煽りを受けたのは、視聴者だけじゃない。スポンサーだって受けている。
視聴者には、「新しい可能性を提示します!」と、作品の質で訴えかけた。
でも、旧響鬼って、スポンサーには何を提示したんでしょうか?


唐突に引用。
はてなダイアリー響鬼で検索されていらしたかたに説明しときますと、『おジャ魔女どれみ』というアニメがあるのですよ。プリキュアの前々番組、ナージャの前番組に。
平成ライダーシリーズの後にやってた番組なんで、視聴層が被る場合も多いでしょうが、念のため。
そしてこちらは、手前味噌で申し訳ないですが自分の同人誌から。
サークル「ブイヤーベースボール」のあるふさん(当時alfさん)にご寄稿いただいた、名論文であります。だから実は、手前味噌でもない。(笑)

スタッフのこだわりはバンダイの商品開発にも向けられていた。次に紹介するのは、「無印」のCDブックレットに収められたスタッフ座談会の一部である。

――その、子供向けということでは、「ペペルトポロン」とかのおもちゃ展開も無視できませんよね。あのへんのBGMというのは、やはり “玩具ありき ”ということに?


佐藤:確かに、M―33*6とM―34*7はSE扱いのアレンジ曲ですね。


奥:あれは僕のオリジナルじゃなくて、おもちゃに使われているメロディをコピーしたものなんですよ。


関:M―34にA、B、Cとバリエーションがあるのは、どれみ、はづき、あいこと、それぞれのテーマごとに、奏でる音楽を変えていただいたからなんです。


奥:元のメロディは、ひとつしかなかったんですけどね。


関:この作品の場合、主人公の名前からして “どれみ ”でしょう。音楽的な楽しさを売りにしたいというのは、企画当初からあったんです。それだけに、おもちゃと言えども作品のイメージを損なうようなものにはしたくない。それで、バンダイさんには事前にいくつかの音色を聴かせてもらって、最も『どれみ』に合うものを指定させていただいたんです。


――それはまた、ずいぶん珍しい形の注文を出されましたね?


関:他の会社とか、他のメーカーさんはどうだか分かりませんけど、多分そういうことをしてるのは、うち(東映アニメーション)とバンダイさんだけだと思います。


藤田:それも、関さんのところの番組だけっていうウワサも……(笑)。


関:みんな、そのへんには、あまりこだわりがないのかな? 私としては、『どれみ』の音楽を奥さんにお願いしている以上、そこだけおもちゃ屋さんの作ったメロディになるというのは、やっぱり不安ですよ。こっちが作ろうと思ってる番組と、方向性の違うメロディがおもちゃから流れたりしたら、それこそ台なしじゃないですか。第一、子供たちだってガッカリするでしょう。だから同じメロディでも、一応ちゃんとしたBGMとして、奥さんにアレンジしていただいたんです。


おジャ魔女CDくらぶ その2 おジャ魔女BGMコレクション!!』(バンダイ・ミュージックエンタテイメント、1999)「どれみ」ふぁそら スタッフ・しど 座談会

ここには、作品の製作を手掛けるスタッフと玩具を販売するスポンサーの間に、極めて幸福な関係が働いているのを確認できる。製作スタッフは作品の評価と世界観の統一を保つべく、玩具にも自分たちの納得のいく高い質を求めた。バンダイの側もそうした要望に応じて、子どもに喜ばれる商品を開発することに努めたのだった。


(『矢田ズム vol.1』(別冊勝手解釈、2004年)、alf著『「おジャ魔女どれみの商品展開」〜バンダイの視点から捉えた〜「どれみ」』*8より)

引用の引用の座談会は、『どれみ』プロデューサーである東映アニメーション関弘美さん、音楽担当の奥慶一さん、シリーズディレクター佐藤順一さん・五十嵐卓哉さんによるものです。
そう、この関プロデューサーの主義に、自分は注目したいのですよ。その後4年シリーズを続け、とうとうこの幸福な関係が挫折してたとしても!(笑)
玩具は商売のためにあるもの。だけど、それだけじゃない。
「なりきり」って言うじゃないですか。子供たちが、憧れのヒーローになりたいから、手に取るんです。


而して、響鬼はどうだったか?
「今欲しいんだよね、君の力!」というキャッチーなヒビキさんのセリフから始まったCM。
衝撃的でしたが、自分はこうも思いました。
演者自身に、玩具を持たせるのは失敗では? と。
だって、本編の音撃棒と玩具のサイズが違うって、いきなりバラしちゃってるじゃないですか。
あの小っちゃいのじゃない、ヒビキさんの持ってるのが欲しいのに、ってがっかりしちゃうのでは?


その意味で、自分は前高寺プロデューサーにも、疑念を呈したいのです。
いいお話さえ創ればいいのか? 玩具方面の努力も、必要だったのではないか?


大ヒットした555ドライバーは、本編のサイズとほぼ同じだったそうな。
それは子供が子供扱いされてない、大人と同じものを持てることが嬉しかったからでは、という意見をどこかで読んだことが。
『どれみ』も同じ。ギミックや流れる音楽が、本編と齟齬のないよう気を遣った。
そういう努力は、なさらなかったのですか? と。


響鬼SEED DESTINY』。『響鬼Max Heart』。
結構じゃないですか。DVDが売れればいいんです。玩具が売れればいいんです。
そうすれば、雑誌は特集してくれる。続編だって思いのまま。
そんな理不尽な状況を、逆手に取ればよかったんじゃあ?


以下蛇足。
先日の総選挙で「論点は郵政民営化のみ! わかりやすいでしょ?」っていうプロパガンダが酷かったですが、とにかく極論化したくてたまらない時代なんでしょうか。今って。
一点を追及するのも大事ですが、周りをもっと見ろよと自戒を込めて言っておきます。
世の中、そんな単純じゃない。
そりゃ単純に面白いセイザーXは大大大大大好きですが、それしか面白い番組がないのはマズいでしょう。そういうことです。

その5。そんなに「自己流」が大事なのか?

どんどん話が変わります。って、だからどんどん長くなるんだよ。(笑)


さて。
先月、友人のお誘いで、

アニメスタイルイベント
第26回「佐藤順一のアニメ屋人生 〜メモルから最新作まで〜」


http://www.style.fm/as/08_event/event26.shtml

ってのに行って来ました。
……会場に人集まりすぎで、長丁場中の長丁場に疲れ切って途中退室の挙句トンでもない失態を(以下、後悔が続くだけなので割愛)
てなわけで、イベント自体は話題にしません。単なる前フリです。(笑)
感想は……申し訳ないけど、自分そこまで濃いアニメファンじゃないからなぁって感じです。
アニメが好きなんじゃなくて、どれみが好きな自分が行く場所じゃないなって思いました。適材適所って意味で。
あと、この前の日のふたご姫でティオの声優さんが変わってたんですが、そのことについてはどうなんですか佐藤さんとか思いましたが以下略。


で、こちらにスペシャルゲストとして現れたのが、細田守さん。
かつて、今年のONE PIECE映画に物申した自分としては、「クサマかぁ! 貴様がワンピをーー! ウェイーー!!」と叫びたかったわけですが。
佐藤順一さんについて熱く語る氏を見て、その前にワンピをもっと熟読してくださいとか思ってた自分は、ホントにこの場に相応しくない人間だなーとか思ってました。ハイ。*9


んで。
その後、っていうか昨日の呑み会で。
この映画についての細田さんインタビューがWEBアニメスタイルに載ってると聞きまして、早速読んでみたんですね。この日記書くに当たって。

ONE PIECE ―オマツリ男爵と秘密の島―』細田守インタビュー


http://www.style.fm/as/13_special/mini_050815.shtml

インタビュアーの「オマツリ男爵の魔力のせいで仲違いする前から、ルフィ達は仲が悪そう」という指摘に、細田さんが「だからAパートで、連携の取れたいいコンビネーションを見せてる。そういうふうに描いてるよ。それに対してオマツリ男爵が嫉妬する、という構図になってるよ。ちゃんと観てくださいよ。ホント。」とか答えてるの見て、青筋が(以下削除)


ざっくり目にまとめると。
オマツリ男爵=細田守自身。
オマツリ島=ジブリ
「要は、相手の懐に入って、イーブンじゃない戦いを強いられた時に、どうなるかという話」なんだそうです。


ハウル云々の事情は知らないので、何とも言えませんが。
随分意地悪な解釈とは、百も承知で、素直な感想を述べさせていただきますが。
ルフィたちを自分の描きやすいフィールドに上げなきゃ、お話創られないんですか? と。


ゴメンナサイゴメンナサイ恐れ多くてゴメンナサイゴメンナサイ……


そりゃ、まぁ。
実体験を使うからこそ、リアルなものが創られるのかもしれませんが。
それでも、原作のレベルまで昇華くらいしてほしいなぁ、とか思いますが。
だって『ONE PIECE』なんだから。オリジナルじゃないんだから。
最低限キャラ描写くらい、しっかりしてほしい。原作に変化をつけるなら、その理由をきちんと提示すべき。
……アニメハガレンを見てください。原作との乖離は自分も驚きましたが、それでも最後に許せたのはスタッフの心意気が見えたから。原作を知っていて、なおも新しい可能性を創ろうとしてたから。
その心意気が、果たしてあのワンピ映画から望めたか。リベンジを期待しています。



で。
響鬼に話題が戻ってくるわけです。
原作=旧響鬼、あのワンピ映画=新響鬼と考えてみよう、ってわけです。
まぁ簡単ですね。少しは旧響鬼を意識してみては、と。
白倉・井上コンビの「自己流」がそんなに大事ですか? と。
もちろん、クウガでもスポンサーと衝突したという高寺さんの「自己流」も、同じように批判できますが。それは置いといて。


ならば、旧響鬼の作風とは何か。
明日夢ブラスバンドへの思い入れの描写が薄いとか、お話の進みが遅いとか。
そんな諸問題はあるにせよ、それでも、半年間一貫していたものがあった。それは何か。

その6。「すこし不思議」な響鬼

吉崎観音先生がですね、ご自身のブログ『観音HOUSE』の4月24日分で響鬼について仰っていました。

アニメケロロ軍曹、相変わらず楽しく見させてもらってます。
日常の延長線上であることは大切にしていってほしいです。
『すこし不思議』は本当に難しい。


ちょっと批判じみていて恐縮ですが、アニメケロロを毎週
見るようになって、他にもいくつかテレビアニメを見るように
なったのですが、本当に、たまたま見たのがそうなのか、
登場人物達が『会話』をしていない。
セリフを述べあっているだけというか。
そんななかで、仮面ライダー響鬼をみていると
血の通った会話にホッとしてしまう。それだけで、安心して
見ている事が出来ます。
ヒビキさんって、仮面ライダーなだけで、あとはただの気のいい
兄ちゃんですよね。
こんなところに『すこし不思議』をみつけるとは。


あくまで方法論の違いにすぎないんですけどね。

「SF=すこし不思議」と略したのは、他ならぬ藤子先生。
ドラえもんケロロも鬼も「非日常」だけど、その周りにあるものはあくまで「日常」を送っている。
だからこそ、すこし不思議な非日常が引き立つ。
……ちなみに『おジャ魔女どれみ』では、魔法という非日常を、親先生などの大人たちがしっかり存在する小学校生活という日常の中で描いてたと、どれみファンとして申し添えておきます。まぁコメットさんもカスミンも(略)


翻って、新響鬼はどうか?
トドロキが日菜佳誕生日に送った鰹。
その失敗を受け、トドロキの相談に乗る香須美の頭の上に乗ったステーキ。
……何ですか、この「響鬼の日常」に全くそぐわない、井上脚本ギャグ。


以前、「鬼に変身することと、頭の上にステーキが乗るのは、どちらも同等に有り得ないことなんだ」って意見を読んで、閉口したことがあるんですが。
そうじゃない。方法論の違いこそあれ、この考えは危険ですよ。
例えば「プリキュアに変身することと、合唱コンクール中突然抜け出したのを誰も責めないことは、どちらも同等にぶっちゃけ有り得ないことだ」と言って、今のプリキュアを許せますか?*10


そして、今年のワンピ映画を思い出してみるに。
今までの響鬼を、もう少し意識できなかったのか? と、思うのです。
そんなに井上脚本的なギャグに、「自己流」に自信があったのですか? と。


ただし。ただし! ですよ。
wikiペディアの井上敏樹の項によれば、「制作の遅れから助っ人として参加した『仮面ライダークウガ』では、『可愛い後輩の代表作になるであろう「クウガ」を、俺が壊すわけにはいかない』として、通常の執筆スタイルを封印。脚本で詳細な演出指定をする荒川稔久のスタイルに合わせて執筆した。」そうで。
今と似たような状況なんでしょうが、何故それを今やらなかったのか。
……たぶん、井上さんですらどうにもならない圧力があったのかなーと。
その辺、自由にやった結果である細田さんと一緒にするのは酷、かな……

その7。それでも響鬼の物語は続く。だからこそ望むことは。

てなわけで。
今後自分が、新響鬼に期待するのは。

  • 「すこし不思議」な旧響鬼を貫いた上で。
  • 響鬼にはない明日夢の成長を、ゆるやかにだが確実に進めていって欲しい。
  • そのためには、キリヤというアンチテーゼはもっと上手い使い方が出来るはずだ。
  • そしてだからこそ、いつまでもヒビキさんは、「背中」を見せるヒビキさんで居なければならない。
  • 明日夢だけでなく、あるいはイブキやトドロキだけでなく。番組を愛する子供たちに対して。


旧も、新も、ありません。
自分は、今の白倉・井上コンビの創り方には反対です。
でも、高倉Pにも問題はあったと、確かに思います。
だからこそ、前進して欲しい。
自分は今でも、細川茂樹さんの「俺が一番ヒビキを愛してますから」という言葉を、信じます。


『ターンAガンダム』主人公、ロラン・セアックの名台詞。
「僕は二年前に月から来ました。けど、月の人と戦います。だけども、地球の人とも戦います。人の命を大事にしない人とは、僕は誰とでも戦います」
これを踏まえて、自分の公的立場を表明するなら。
「僕は旧響鬼の世界観に惹かれました。けど、旧響鬼に異議を唱えます。だけども、新響鬼にも異議を唱えます。物語を、キャラクターを、視聴者を大事にしない人とは、僕は誰とでも戦います」
って感じです。(←何言ってんだか)
……ターンAガンダム、ちゃんと全部見たいなぁ(←見てなかったのかよ)



なお吉崎先生は、その後10月16日分の日記で

あー!
僕の裁鬼さんがー!

もとい。(笑)

ずいぶんディフォルメされた構成になっているけど、
最初の頃の響鬼が築いた人物像があってこそ、面白く
つくられてますね。
作品に真摯な執念を感じると、僕の場合心に永遠に殿堂入りしてしまう。

と。
かくありたいものです。


長駄乱文に、お付き合いありがとうございました。

*1:本来のツンデレは「人目つくところではツンツン、二人きりだとデレデレ」って意味で、ツンとデレが同時間軸にある恥じらいキャラが基本なんだけど。世間的には「序盤ツンツン、その後瓦解してデレデレ」が浸透しちゃってますね。

*2:個人的には、無神経にあきらに迫った時点でちゃんと明日夢には怒って欲しかった。あきらの友達として。

*3:ジャスミンはわかる。けどセンやホージーくらいは、ボスに言われる前に気づいて欲しかったような。

*4:ホージーがアリエナイザーと入れ替わる回のラスト、ナレーションが「皆もホージーみたいに頑張れるかな?」って感じに入ったのは明らかに蛇足なんですけど、仕方ないなとも思います。

*5:誰が何と言おうと、旧作『幻想魔伝 最遊記』は名作だったと言いたい自分。まぁ今は原作もさっぱり読んでないですがー

*6:変身シーンBGM。引用者注

*7:魔法シーンBGM。引用者注

*8:超弱小サークルが70部しか発行しなかった同人誌に載せるには、余りに勿体ない全どれみファン必読の論文でしたよ。勿論、他のかたがたのも。

*9:でも未だにあの映画で、サンジがナミに怒鳴ったのは許せません。

*10:……どれみファンがプリキュアを甘受できないのは、そういう理由があるのです。あの時間枠を汚すな、と。