ケイン@ビートルセイザーが言ってた、カブトムシは昆虫の王様だって

そんなわけで、知識も経験もキャラもハートも全部持ってる天道総司
カブトが始まって6話を過ぎましたが、意外なことに、実に好感触だったりします。
3話で警察署を襲撃した時はどうしようかと思いましたが、それすら今はもう「天道だから仕方ないな」で済ませちゃってます。
製作者側の術中にハマりまくりです、視聴者として理想的です。(笑)


ターニングポイントは4話でした。
加賀美とのやりとりで、天道はハートをも持ってるんだ、ホントに何もかも持ってるんだとわかってからは、もちろん。
天道妹が、兄を「俺様キャラ」だと認めた(上で、兄を愛している)辺りで、もうOKでした。


後期響鬼の桐矢京介にしろ、555序盤の草加雅人@913にしろ。
彼らの問題は、そのアクの強すぎる異常行動そのものにはなかった。
むしろ、彼らの異常行動を放置していた、周りにこそ問題があった*1わけなのです。
要するに、ツッコミ不在だったんですよ。
桐矢に「お前、それはマズいだろ」と誰も言えなかった。ヒビキさんの弟子になってからも、窃盗を誰にも咎められなかった。後期響鬼ファンからも、桐矢はヒールだからと真剣に見てもらえなかった。前期響鬼ファンからは、スルーされるだけだった。
物語中でも、外でも。誰からも真剣に見てもらえなかった、ツッコんでくれる相手がいなかった。
それこそ、桐矢京介の悲劇ですよ。


一方の草加は当初、その裏の顔を誰も見抜けずにいた。巧にだけ敵意を見せ、主人公を貶めるために木場と仲違いさせたりした。
が、劇場版では嫌味な部分が仲間にも全部バレてたし。本編でも徐々に嫌味な口調がデフォルトになって、最後はとうとう流星塾の仲間にすら半疑問系で喋るようになった。
正直、草加の本性が周りにバレ始めてから、彼のキャラは生き生きとし出したのでは? とすら思います。


わかりにくいボケを、ずっと放置していた。
明らかに異常なのに、それを誰も指摘せずにいた。*2
松本人志の一人ごっつじゃあるまいし、ハイレベルな笑いを子供に見せてどうしろと。
爆チュー問題のように、ちゃんとタナチューにわかりやすくツッコんでもらってこそでしょう、いや何言ってんだ自分。


でも、そんな感じですよ。
だって天道には、加賀美っていう立派な相方がいるんだから。
このボケ役は、自分が世界で一番偉いと思ってる。自分中心に世界が回ってる、運命は必ず俺に味方する、と思ってる。
ああ、天道なら、そうかもな。天の道を行き、総てを司るんだから、そうかもしれないな。と、だんだん、そんな気がしてしまう。
それが、製作者の狙いでしょう。


でも、その前に。
世界で一番偉そうの間違いじゃないか、という真っ当な疑問=ツッコミを経なければ、「そんな気」にはなれないんですよ。
そんな視聴者の代弁者=常識的なツッコミ役として、加賀美がポジショニングされてるんです。
加賀美がツッコんでくれるからこそ、天道のボケが輝く。単なる嫌味な奴で終わらないんですよ。*3
一方、兄の欠点も知った上で、兄を慕う妹・樹花がいるわけだし。
欠点を指摘してくれる友達*4がいて、欠点を受け止めた上で愛してくれる家族もいる。
幸せモンです、天道。流石は総てを司るもの。


そういえば、カブトの脚本書いてらっしゃる米村正二さん。
響鬼では、明日夢をいびるために自転車で爆走する桐矢という名シーンが出てくる回と、その次話、ヒビキさんが初めて「明日夢」って呼んだ回を担当されてましたね。
アレ見て、自分は桐矢が大好きになりました。桐矢のおかしい面を、しっかり書いてくれたんですね。
確かにあの2話では、ヒビキさんが初めて敗けるというショックなシーンもありましたが。負けるのがわかっていても、待っている奴がいるから行くと言ったヒビキさんの眼は、ちゃんと桐矢のほうを見ていたんだと、確信できます。
なわけで、実は脚本家のお名前だけで期待はしてたんですよね。ちょっとだけ。(笑)



ただ思うのは、カブトって今のところ、天道のキャラだけで引っ張ってるなぁと。
ZECTという組織の胡散臭さとかは、これまでの平成ライダー*5っぽさの焼き増し、同じことの繰り返しなわけで。
真新しい部分が天道だけ、ってのは限界があるのでは。
自分は、天の道を行き総てを司る男が、その胡散臭いものを全部ひっくり返してくれるんだとワクワクしながら見てるんで、いいのですが。
天道のキャラがどうしても馴染めなかったら、見る気なくなっちゃいますもんねぇ。
でも、子供にも好かれそうですよ、天道。妹思いだし、何よりスーパーヒーロータイムのEDでお茶目な面を見せてるし。キャラを壊さずに、子供に向けたギャグを放てる。流石は総てを司(略)


てなわけで。新キャラ、ザビーさんに期待です。
お料理バトルって時点でギスギスしたライダーバトルだけじゃなさそうだし、ってか予告見るだに、ザビーさんも絶対変なヒトっぽい。(笑)
てか、変なヒトであってくれ! あの天道のライバルなんだから、そうでなきゃ困る!
ちなみにザビー=矢車想役の徳山秀典さんは、『幻想魔伝最遊記』のOP主題歌2曲を歌ったかたであります。『ぼくらの勇気・未満都市』というドラマでも(以下略)


カブトはこれからも、ライダーがいっぱい出てくるそうですが。
願わくば、そいつら全員が天道並みの個性、いや、天道には及ばずとも加賀美から見れば充分変人で、加賀美のツッコミが止まらないほど変人だらけのライダーが集まって。
その個性で、既存の平成ライダーの枠組を全部ブチ壊して頂きたいものです。
そう、これだって「完全新生」の一つの形なんじゃあ?
ヒビキさんとはまた違った、完璧なヒーローの姿を、天道には見せてほしいです。
てか、自分にはもう見えます。天を指差してる天道を見て、ヒビキさんが「若さって素晴らしいねぇ」と感心しつつ、共闘してる姿が。





以下、愚痴交じりなんで飛ばすが吉。


あー、でもやっぱり不安になってきた。
本編には今のところ、眼に余るほど許せない部分はないんだけど、東映公式ページが、すっごく蛇足。

主人公・天道総司は、最強の「俺様」。


大口を叩いても、それ以上のことをきっちりやってのける。頭は誰よりも切れ、体力も万全。料理はプロ以上で、語学も堪能。
万能選手にもほどがあります。


不断の努力をするのは当たり前。努力は通過点にすぎない。「努力してます」なんて口に出すまでもない。
彼は、本気で世界を救う気でいます。
そこに遠慮も会釈もありません。誰かに遠慮しながら世界が救えるはずもない。彼の大口が止まらないかぎり、世界は大丈夫なのかもしれません。

あの、ご自分がプロデュースする主人公大好きなのはわかりますが。
わざわざ、ヒビキさんに当てつけるようなこと書くのはどうかと思います、白倉P。
てか、いちいち説明しなくたって本編見れば、天道は天の道を行く奴だって皆わかってますから。作者が口に出しちゃ、意味ないですよ。
こうして、総ての司りっぷりを文章で説明しちゃうこと自体、天道の魅力を薄めてると思うんだけどなぁ。言動見てればわかる、背中で語る。ヒビキさんと一緒でしょ?


そして、ヒビキさんの「鍛えてます」は、昨年末紅白で言ってた「一緒に鍛えようぜ!」的ニュアンスも含んでるのであり、決して口に出したいから口に出したわけじゃないんだと、マジレスしておきます。


……当てつけだなんて、考えすぎだと思いますか?
自分としては、このコラムは「努力は通過点」云々のくだりはなくても成立する故に。思わず本音がポロッと出たか、あるいは故意に罠を貼ってる、と感じたのですが。
この辺、自分が、響鬼騒動を引きずり過ぎなだけと思いますか?


だって、この上のTopicsには、こう書いてあるんですよ?

05/06話の最初の打合せで、長石監督が言いました。


   「ひよりってさ、こんな子だったっけ? 違うんじゃない?」


そう。「ヒロインの笑顔を見せる」というゴールを意識するあまり、無理してストーリーをつくっていたのです。登場人物がストーリーの駒になってしまっていた。
それを的確に指摘する長石監督。


長石監督はだませない!


各キャラクターの性格を大事にして、ゼロから練り直したのが今回の05/06話。
よりすばらしいストーリーになりましたが、それより何より、「ヒロインっぽくしないと」とか何とかふらふらしないで、《ひより》という希有な大事なキャラクターを貫徹しよう! という覚悟が、企画陣みんなに徹底されたことがすばらしい。
ホントに奇跡的なできごとだったと思います。

……白倉プロデューサーって、煽動的な文章書くの、上手いよね。

*1:すなわち、製作者側。脚本家でもプロデューサーでも誰でもいいけど。

*2:ギャレンを思い出してください。「橘さんは頼りにならないし」とか言われまくりで、皆に愛されてたじゃないか!(笑)

*3:で、4話ではその立場が逆転。加賀美が暴走して、天道がツッコんでくれた。まさに友情、「本気で殴りやがって」って天道の台詞は、素だったと自分は信じたい。

*4:友達だよ! 6話で天道は否定したけど、それでも直後に加賀美を助けるためZECTに捕まったじゃないか!

*5:白倉ライダーって言い切りたいけど、アギト未見なんです自分。いやそもそも、ライダー見始めたのは龍騎からなんですけどね。