「匿名性」を利する Noisy Minority の卑

……日記のカテゴリ分け*1に時々悩むHTBです。


最近、匿名掲示板というものに対する自分の立場を、再考してます。
旅行中、さるかたから「ウマー*2って2ch用語だよ?」とご指摘を受けたもんで。
こないだまでは周り中から「偏見が強い」って言われてたのに。ううむ。


基本的に自分は2chに組しない人間、という立場を取ろうとしてます。(←弱気)
ただ、全く利用しないってわけじゃなくて、定番ですが情報収集とかには最終手段として見に行ったりもするし。
オンドゥル〜だの、まったり目の穏やかなスレなら、ネタ動画目当てにROM*3することもあったりなかったり。
でもねぇ。
すぐ荒れるからねぇ。泣きたいくらい。
書き込む気には、一生なれそうにありません。


大嫌いな部分は大嫌いだし。今でも。
モニターの向こうの書き込みに殺意を覚えさせてくれるという、貴重な体験もさせていただきました。二度としたくねぇけど。
とかく、「匿名」であることを最大限に利用し、そして逃げているのが大っ嫌いなのです。


例を挙げましょう。
オレンジレンジの楽曲がパクリだ、って主張してるスレがあるそうです。
あ、いちいち検索して調べに行ったりしなくていいですよ。
問題にしたいのは、パクリかどうかじゃなくて、彼らの理論武装の手口ですから。
作詞作曲のクレジットの変更を調べるため、彼らは何とあのJASRACへ問い合わせたという。
2chに出入りするほどネットに染まってるなら、その評価なんていくらでも聞いてるだろうに。
自分達の活動が実って、一般紙に紹介された、とも言い出しました。
その紙面とは「日刊ゲンダイ」。
……へぇ〜〜〜。
2chに出入(以下同文)


その、オレンジレンジを叩きたい人々の中にだって、JASRACに批判的な人間はいくらでもいるだろうに。
でもこの矛盾は、「名無し」だから許されるわけです。
これが特定の人物だったら、ダブルスタンダードだと非難されるはず。
でも匿名だから、一方でJASRACを批判することも、もう一方でJASRACを利用することも、可能なわけです。


これが無責任でなくてなんなのか。


責任ある言論というものは、自分の生きている場所を鑑み、所属する組織を意識し、その上で自分の思想を貫いていくものです。
がんじがらめの人間関係の中で、それでも何かを主張する。
それが「覚悟」であり、「責任」です。


そりゃハンドルネーム/ペンネームだって「匿名」ですが。
自分はできる範囲で、この「責任」を取っていこうと思ってますよ。
Web上でだって、良心を持った表現者はいくらでもいる。その末席に座るために。



さて。
「Noisy Minority」(うるさい少数派)という言葉があります。
「Silent Majority」(沈黙せる多数派)の反義語です。


以下、教科書問題に取り組んでいた頃のゴー宣から引用。

「『つくる会』の教科書の採択妨害運動をしているあの平服の者らは 普通の一般市民ではない。」
「地元の者でもなく、他の県から動員された者もいる。」
「あれは極左イデオロギー集団が『市民』に仮装しているのである。」
「あれは『市民』ではない!」


「特攻服で街宣車に乗ってきたら、見た目にわかるから一般人は眉をひそめるが…」
「注意しなければならないのは、一見 ふつうの『おばさんたち』なのだ!」
「おばさんたちが、各地で教科書の学習会を開いてる光景がNHKで映っていたが このおばさんたちが共産党だった場合、創価学会だった場合、民団だった場合、『市民』と言えるのか?」
「普通の『庶民』はなかなか教科書の学習会に集まったり、採択の市議会の場に集結して、人間の鎖を作って特定の教科書の不採択のために圧力をかけたりまでしないものだ。」
「これは我々が『市民とは何か?』を考える時、重要なポイントである!」


(小林よしのり『新・ゴーマニズム宣言』第148章「Noisy Minority と大新聞の協力」より)

で、その「市民ぽいもの」をクローズアップし、「市民」と偽った偏向報道をするのがマスコミで。
常識ある一般大衆=サイレント・マジョリティの世論を揺るがせている、すなわち世論を操作している。
それが、氏の主張です。

「ノイズィ・マイノリティが『市民』の仮装をして、マスコミと連携しし、民主主義を『歪曲』していく!」
「こんなことが許されるのだろうか?」


(同上)

……この頃はまだ「民主主義」を掲げてたのねぇ……(涙目)
最近小林氏、日本は狂ってる狂ってると、絶望にも似たこと言い出してます……


置いといて。
特に教科書問題とか、歴史認識云々を置いといて。
この「うるさい少数者」こそ、2chにおける無責任な連中だ、と自分は思うのですよ。
大多数はそんなこと思ってないけど、外で口に出したら白い眼で見られるけれど。
そんなことも「匿名性」の利によって、いくらでも言えてしまう。「名無し」の書き込みとして、他と同じように扱われる。
そして、多種多様な人の眼に触れるネットだから、同じように思ってるヘンな人がだんだん集まる。


まさに2chが、少数派の意見を無理矢理拾い上げるマスコミの役割を果たし。
結果、(市民を偽装する?)過激団体が、2ch上で結成されるわけです。
一方沈黙する多数派は、それを「スルー」し、無責任がまかり通る。まぁそれ以外に、対応しようがないから仕方がないんだけれども*4
そうやって、摩訶不思議な主張がいくらでもされるコミュニティが結成されては消え、それを繰り返していくのです。
飽きたら、すぐ投げ出す。スレッドが廃れていくわけですね。
そして、その主張を言い出した責任を、名無しは誰も取ろうとしない。
「こんなことをしている自分たちは、いつか地獄に落ちるだろう」なんて言う人もいます。一体いつ落ちる気なのか、一体いつ責任を取る気なのか、ぜひ聞かせていただきたい。
でも、最後まで責任追及はできないでしょう。誰が言ってるのか、わからないんですから。


そして残るは、誹謗中傷を受けズタズタにされた人々の心のみ、と。
プロだろうと人は人。ましてやそれが、単なる一般市民に及ぶんだから……


……うん。やっぱ理論的に自分は2ch否定派だな。よかったよかった。(笑)
板によって違う、ってのも承知してるんですけどね……
「匿名性」という要素が、いつでもこの「Noisy Minority の台頭」を引き起こす原因になってるわけですから。



さて。
この「無責任な連中」には、主義主張らしきものすらない「荒らし」「煽り」などの、愉快犯も含みます。
……というか荒らしとか煽りって言う用語からして、情報操作してると思います。「迷惑行為」「中傷」とかでいいですよ。
とにかく何でも書けるから、スレッドの流れや人間関係を壊すようなことも書ける。
だから「スルー」という対応が必要なのであり、その意味で Silent Majority の対応としてはやはり正しい、のでしょう。
もちろん管理人としては、ガンガン消すもよし、ペナルティを課すもよし、なのですが。


マスコミを疑うメディア・リテラシーが、Silent Majority に必要なように。
愉快犯に惑わされない常識が、ネット利用者にも必要なんですね。
……最近コンビニのレジで、ごく一部のヘンなお客を対応するたびに思うんですよ。後ろの列がつかえてるんだって。
バイトでも結構大変なんですよ! 結構!(笑)


そう、ごく一部の人間の吐く戯言に付き合ってる暇はないのです。
それより遥かに多い、黙ってはいるけれど支持してくれている方々を信じなければ。
……と、誰か、最近特に孤独なゴーマニストに伝えてくれませんか?(笑)



あんまり匿名性を批判するばかりでもつまらないので、最後に。
てか、批判するなら、自分の言動もできる範囲で表明しておかないと。

おジャ魔女どれみちゃんねる」略して、どch。匿名掲示板につき、閲覧は自己責任で。
http://www.doremich.or.tv/index.html

ページ左部のはてなアンテナに、こっそり加えてますが、実は時々書き込んだりしてます。
……お前は「匿名性」が大嫌いなんじゃなかったのか、と言われそうですが。
自分はここに、匿名掲示板の可能性を見てるんですよ。
毅然とした態度を見せる管理サイドの対応。
SS書きにも絵板にも姿を見せる、良質な投稿。
ノリというものを理解してるぽい住人。


匿名であることには変わりありませんが。
ていうかアングラであることには変わりないんで、載せるの微妙に迷ったりもしたんですが。(笑)
接点が全くない人々がすれ違う2chなどと異なり、ここを訪れる人々は「どれみファン」であるという共通点があるのです。
自分は「どれみファン」≒「どれみという作品のテーマを理解し、感銘を受けている」人だと勝手に思ってるので(笑)、ある程度の信義が置けるのです。
ここに関わる全てのかたが、「どれみファン」という立場を意識しているならば、何が起こっても乗り越えるだろうと、自分は信じます。


どれみという作品が生んだ絆。
MAHO堂大バザール』というイベントで、立場の違う人々が同じファンとして語り合う場を作り上げた先人たちがいます。
それは勿論、「お互い顔を合わせる」という、人間関係の一番の基本がなされていたから、かもしれないですが。
それに近しいものを、自分は期待したいのです。
どchに限らず、ネットにおけるどれみファンコミュニティに。



まずは、このネット上での一言は、「外に出て、顔を合わせた状態でも言えるか」と問うことから始めましょう。
いや、別に、外で付き合う全ての人に、どれみファンだと自白しろって言ってるんじゃなくて(笑)。
この主張は、匿名性という陰で言ってるだけなのか、と自答すべしってこと。
この意識さえあれば、たとえどんな匿名掲示板でだって、平和に過ごせると思うのですが……


そしてどれみファンである以上は。
「この発言は、春風どれみを前にしても言えるか」を、前提にしましょう。
……だからあんまりハァハァ言い過ぎないように。(笑)


まぁ。抑えるところは抑えられるファンになりましょう、ってコトで。



PS


匿名といえば、随分と普及した「Web拍手」。
自分も使ってるけど、これも危うい気がする。
意見が手軽に、直接送信できるのはいいけれど、その内容が外部に見えないから中傷も何でもできる。「拍手」なのにねぇ。(笑)
「コミュニケーションの手段としてあまりに閉鎖的」とは友人の言葉。同意です。
「匿名性」ってのはネットであまりにも当たり前すぎるから、それに慣れちゃって責任感がだだ漏れになってしまう、それが一番の問題かもしれない。
人間って、弱いからね……

*1:見出しタイトルの [ ] に入ってる奴。

*2:地ビール飲んでたら口についちゃったらしい。いかんな……

*3:直接参加=書き込みはしないが、読んではいるってこと。Web特有の用語かと。

*4:この場合責任を取るべきは管理サイドなんだろうけど、規模が余りに膨大だからチェックし切れないことも事実……ん? これって脚注か?(笑)