『劇場版仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼』感想

見てきました。イナズさんと。
その後、ごろはちたせいさんと合流し、色々語ったりしましたが。
まずは鑑賞直後の、イナズさんの第一声。


「orz*1


たぶん、今年のワンピ映画見終わった直後の自分の顔が、こんな感じだったんだろうと思います。


そして自分の感想。
正月にやるというジャスティライザーの映画が、こんな感じならよかったのに。
以上。


そういえば恒例の、前作のキャストがゲスト出演ってのもなかったです。
待ってたのに……戦国時代でも騙される橘さんを期待してたのに………


で……
一応、長くて長いレビュー、置いておきますね。
もちろんネタバレ全開なんで、これから見たいかたはスルー推奨です。
割と酷評になってます、色々ご了承ください。


あ、マジレンは面白かったですよ。
すっきりくっきりしてて、昨年のデカレンTHE MOVIEの反省*2が生かされてたと思います。
そして大物ゲストの曽我町子さん演じる、天空聖界の一番偉いヒト。マジョリカに似てたと言うイナズさん、もっともです。《天空大聖者マジエル》さん、威厳がないところでは徹底的にありませんでした(笑)。



冒頭。まずは現代パートから始まります。
魔化魍との戦いに、何故かついてくる明日夢
彼をかばって、いきなり「明日夢!」と呼んじゃうヒビキさん。
……パラレルワールドというよりは、TV版終了後の設定なのかも、とか思った。明日夢は鬼にこそならないけど、猛士のスタッフ見習いとして頑張ってる、ってことで。
何にせよ、TVとは違う話だってことを象徴するシーンではありました。


置いといて、時代劇パート。
基本的に、現代の明日夢が見つけた、昔の書物の内容を回想シーン的に映像化したって感じなんで、極端に言えば全部明日夢の妄想とも片付けられます。
なもんで。


カブキさんが出てきていきなり、「ダイエット」「リバウンド」「ラジャー」と、英語使いまくりなのも。
まぁ。
いいじゃんもう。(笑)


で、その時代劇パートで出てくる刀を、現代で明日夢が発見して*3
それを現代のヒビキさんが使ったら、それがいきなり《装甲声刃》に変化して、響鬼自身も《装甲響鬼》にフォームチェンジ。


んと。
アレだ。
きっとこれがジャスティライザーなら、

神野「むぅ、あの刀は!」
真也「知っているのか神野?」
神野「おそらくハデスの襲来した戦国時代、彼らを倒すべく造られたのがあの刀だ。それからずっとあの刀に、地球のジャスティパワーが宿り続けていたんだろう」

とか言い出して解決。
マジレンなら、

ヒカル先生「時代を超えて受け継がれた勇気に、魔法が応えたんだ!」

という説明で、オールオッケー。


でも。
それを響鬼でやったら、「説得力」がなくなるんですよね。
……やっぱりパラレルワールド、なのかもしれない。アームドセイバーの設定が違うんだから。



続いて、戦国時代の鬼レビューもしてみましょうかね。

  • ヒビキさん

まず、鬼を引退してた理由が不透明。
明日夢がヒビキさんを憎んでた理由が、「ヒビキが兄を殺した」ことなんだけど。
真実は、明日夢兄は土砂崩れに巻き込まれたのであり、別にヒビキさんの戦いに巻き込まれて、というわけじゃなかった。でもあの後、ヒビキさんが明日夢の前に現れた時、何故か変身状態で明日夢兄の亡骸を抱きかかえてて。その意味は何処にあるのか、と。
……鬼になれる力を使っても、助けられなかったってことなのかなぁ。


時代劇パートのテーマとして、「鬼を疎外する人間たちとの対立」ってのがあったんですが。
いいところで生かされてないって気が、どうしても。


あと、明日夢との再会時の態度が淡白すぎ。
「思い出したよ、まだ気にしてるの、よくないなぁ」*4って。ちょっと待ってよ。(汗)

  • イブキさん

バカ殿。長い長いちょんまげは、故意犯だったらしい。その場でブッタ切るためにつけたのね。
手柄立てて大名になった、って設定以外は、TVと何も変わってません。そして目ざとい活躍もなし。
どうせなら、あのアキラのそっくりさん*5と、ちょっとでも接点持たせればよかったのに。
ラスボス魔化魍のオロチと最初に対峙した時、睥睨する様が非常にカッコよかったので、「実は彼女の敵討ちのためにやってきた」と脳内補完。

  • トドロキ

イブキ以上に、何しに出てきたかわかんなかった。やはりキャラ変更もなし。
同じく、トウキさんと接点つければよかったのに。不憫すぎ。
一応、引退中のヒビキさんの音叉を預かってたのは彼なんだけど、その理由は全く不明。恒例のディレクターズカット版では、何か語られるんでしょうか。

  • カブキ

オンドゥルルラギッタンディスカーの細かいトコが、イマイチかなー。
優しいけど実は……って時点で、昨年の劇場版ブレイドの《仮面ライダーグレイブ》志村純一とカブってまして。
「鬼を疎外する人間たちとの対立」ってテーマを一身に背負わされたキャラで、助ける価値があると思えなくなったから人間に復讐したいと。ベタではあります。
ただ台詞の節々から、「大人の人間がキライ、素直な子供は好き」ってことは感じられた。いいヒトだったんだよ元々は、っていう。
……でもその割に、自分の正体を知ったモッチーのそっくりさんを乱雑に始末しようとしたし。言動にブレがあったような。
成敗のされかたもあっさりしすぎで、彼も不憫でした。
エンディングには子供と戯れるシーンが出てきたので、生きてはいるんでしょうね。

  • トウキ

ザンキさんのそっくりさん、ってだけでした。
台詞の迫力は相変わらずでした。
「仏の顔も三度までじゃ!」「仏の声を聞いた〜」など、名台詞もありました。
でもそれだけ。

  • キラメキ

いきなり空から飛んできた。
カブキ、イブキ、トウキは一応、道中で誘ってという流れがあったのに。
彼だけ「話は聞かせてもらったぞ」なノリで、空から飛んで合流。しかも妙なハイテンション。好きだけど、好きなんだけど……
断言します。貴方はジャスティライザー・キラメキとして、超星神シリーズで活躍してください。

  • ニシキ

グレートチキンパワーズ*6、昔好きだったんですよねー
竜馬におまかせ!』の近藤長次郎の姿が、目に焼きついてるんですよねー
いらっしゃーいな音撃も、ヘンな期待をしたんですけどねー
せめて「鬼の力を使って盗みを働く」設定を生かせばいいのに。敵から武器奪ったりさ、敵の城を荒らし回るとかさ。勿体ない。
あ、彼を処刑しようとした侍がドランクドラゴンの塚地だったんですが、演技は自然でした。途中までそのこと忘れて見入ってましたし。

  • ハバタキ

飛行ユニットであることを生かせました。以上。
妻子との一時の別れのシーンは、余りにお約束で語ることも出来ず。
トウキさんとは違った渋さで、参謀として活躍できそうな気配あったのになー。



以上、わかりやすい結論ですが、登場人物出すぎでてんてこ舞いになった、でOKかと。
キャラが立ってはいる、区別もつけやすく、非常に子供に優しい仕様。
けど、このキャラでなければ出来なかったという、明確な活躍がない。実に勿体ない、勿体ない……


また、7人戦鬼勢ぞろいで、振り返ってポーズ決めるところなんて、モロ戦隊のノリ。
こういうのはむしろ大好物だけど、『響鬼』でやることかぁ? と。
あ。戦隊といえば。

グランセイザーのED唄ってたかたです。
台詞が少なかったせいかもだけど、演技はやはり自然。この辺の信頼感だけは保てた模様。
ただし、何が目的で現れたのか全くわからない。
イナズさん曰く、この辺が実に戦隊の悪役ぽかったそうです。ゲストとして現れて、消えただけ。



まとめっぽいもの。
物語の楽しみ方を、二種類に分けるとすれば。
一つ一つを丹念に積み重ねて創る、ものっそ丁寧な作品を、めっさ咀嚼して味わうのと。
勢いに任せてノリノリで創る、ものっそ男の手料理な作品を、自分もバカになって味わうのと。


後者が、最近自分が異常に大好きな超星神シリーズ、なんだと思いますが。
それと同じことを、この映画でやっちゃったのかな、って。
TV版29話までが明らかに前者である、いや前者でありすぎた『響鬼』って作品で。


日常の積み重ねから、ゆっくりとキャラを組み上げていく『響鬼』である以上。
悪く言えば雑、よく言えば勢いのある創り方を、突然されたら。
非難されて然りだったんじゃないでしょうか。
たとえ興業的には正しいのかもしれないけれど、急激な変化は混乱を産む。当然でしょう。



……個人的には割り切っちゃったんで、そこそこ楽しめてはいたんですが。
実際に分析したらアラだらけなんで、随分と酷評をしてしまっています。
でも、もういいじゃん、「げん!せいしんジャスティライザー! かめん!ライダーアームドヒビキ!」ってノリで、手ェ振ってれば。
もちろん、それを"映画"にしていいか、1800円払う価値があるかは、問い続けねばなりませんが*7


それはそれ、これはこれ。
心に棚を作られるヒトでないと、作品を楽しめない時代が来たのかもしれません。
…………自分で書いてて、何かが疼き出す結論だなぁ(笑)

*1:「オーアールゼット」。

*2:自分の思う敗因。敵陣営のガストリンガーズのメンバーが多すぎで、キャラがイマイチ立ってなかった。

*3:クロノ・トリガー』の冒険家トマを思い出すなぁ。ちょっとだけ。

*4:大意はこんな感じだけど、こう書いたら草加@カイザにしか思えない。(笑)

*5:台詞もほとんどないまま、いきなりオロチの生贄にされて退場。名前はアキラじゃなかったものの、TVのレギュラーキャラが演じるキャラにこの仕打ち。いいの?

*6:先日、正式に解散したそうで。

*7:ライダー師匠・イナズさん曰く、「午後7時からTVスペシャルで、お祭りとしてやるべきもの」。